小島千架子先生から、添削をしていただいた分のうち
各三句づつ載せました。


静けさに 響け 響くや 虫の声
虫の音に 抱かれるごとく 鳴きこめる
ぬくめ酒 くみかわしつつ 夢語る     谷口敏子
 
こおろぎも ちと暑すぎて 疲れ声
虫の音が 平和の叫びに 聞こゆるいま
虫の音を 聞いて懐かし 里の山      梅原 章
       

温め酒 今宵は何故か 胸に染む
虫の声 合間に響く 雷雨かな
夕焼けに 家路をいそぐ 虫の声      西條 浩
       

孫と夏 静けさもどり 虫の声
温め酒 口ほころびて 時忘れ
熱燗で 夫のそばで 横づわり       松井栄子
 

虫の声 聞く人問わず 鳴きつづけ
湯上がりに 虫の音聞いて 秋を知る
二日酔い 酒はやめたと まつり酒     松井利廣
 

盆踊り 終りしあとに 虫の声
老いし母 手もとに宵の ぬくめ酒
ゆったりと もの思いつつ ぬくめ酒    太田鉄子
 

今までは 気にもかけずの 虫の声
風やめど 虫の鳴く音の ひとつなし
こんどこそ 母と飲みたし ぬくめ酒    太田勝治
 

鳳仙花の 種が弾ける 水やりて
父の年 はるかに越えて 虫の声
チューリップの 球根植えて ぬくめ酒   岡島祐治
 

虫の声 負けてたまるか ダイエット
やめたはず 恋の病に 温め酒
ケンカして ベッドの前の 温め酒     田部井俊

残業終え 玄関でほっと 虫の声
湯につかり 夜の静けさ 虫の声
来年は プロ野球はと 温め酒       川村正夫
 

虫の声 寝床に入りて 気づきけり
虫の声 夢の入り口 子守歌
アルバムを 片手でめくり 温め酒     室谷紀代子
 

虫の声 命つなげる さわがしさ
虫の声 聞いて楽しむ 長い秋
温め酒 我を忘れて よいしれる      田村克年
 

秋風や 多摩の原では 虫の声
暑さ過ぎ ふかぶか聞こゆ 虫の声
秋空や おでん楽しむ ぬくめ酒      清水鉄治

虫の声 深まる秋の オーケストラ
喧騒の 街へ届けと 虫の声
鳴き声を 聞いてと競う 虫の声      橋本満喜江
 

父母が テレビを消して 虫の声
産興の 襷を渡す 温め酒
温め酒 覚めてもなおの ありがたさ    赤井達雄
 

日が暮れし 夜風と奏でる 虫の声
静けさに 虫の声聞き 疲れとる
温め酒 思いをめぐらし 箸をとる     込山嘉一
 

瞑想に いにしえ思う 虫の声
ただ一人 想う朝もや 虫の声
虫鳴いて 夕日のあぜ道 父のしわ     田幡 斌