ペルーの世界遺産
【ナスカ/フマナ平原の地上絵】
<<世界遺産データ>>
遺跡名:ナスカとフマナ平原の地上絵
英表記:Lines and Geoglyphs of Nasca and Pampas de Jumana
登録年:1994年
分 類 :文化遺産
<<遺跡について>>
紀元前200〜800年頃に栄えたナスカ文化の人々によって描かれた地上絵は、350ものサルやクモ、ハチドリといった動植物や三角・直線などの幾何学模様が1000平方kmにも及ぶ広大な沙漠“ナスカ平原/フマナ平原”に点在しています。
偶然、上空を通りかかった飛行機により発見され、様々な研究が行なわれてきましたが、いまのところ分かっているのは、描かれた年代だけ。何のために描いたのか、絵柄は何を意味しているのか、どのようにして描いたのか・・・多くは今でも謎のままです。
洪水や地震、人為的原因によって地上絵は消滅の危機に瀕している一方で、日本の調査隊により100個もの新たな地上絵が発見されたり、NASAの衛星によって超巨大な地上絵も発見されたりと、まだまだ新たな地上絵が見つかっています。
□発見
1936年6月22日、ナスカ高原の上空をたまたま通過したアメリカのロングアイランド大学歴史学教授、ポール・コソック教授によって発見されました。彼らは他の遺跡の調査か灌漑事業の調査に向かう途中だったようです。もっともこの辺りを頻繁に行き来していた貨物輸送機のパイロットたちは、それ以前から地上絵の存在を知っていたらしいですが。
□どうやって描いた?1
地上絵はどれも巨大で、上空300m以上からでなければ“絵”だとは分かりません。飛行機がなければいまだに知られていなかったということになるわけですが、それならばどのようにこれらの絵が描かれたのか?という疑問が浮かびます。地上絵付近から「布」が見つかっていることから、気球に乗って上から指示を出しながら描いた、とする説、あるいは地上絵の中に「杭」が発見され、杭にロープを張って相似形をだんだんと拡大していったのではないか、とする説など仮説はいろいろ立てられているものの、残念ながら分かってはいません。
□何のために?
地上絵が描かれた目的についても同様です。生涯を地上絵研究に捧げたドイツ人女性マリア・ライヘは、天文観測に基づいた暦だったのではないかと推測しています。その他、見つかった楽器から雨乞いのための宗教儀式の場だったとか、宇宙人の滑走路説、単なる宇宙人の落書き説までありますが、描かれた目的は謎に包まれたままです。
これらの絵が一筆書きで描かれていること、また、初期に描かれたのはサルやクモといった複雑なものだったのに対し、時代を経るにつれて直線や三角などの単純な幾何学模様へと変化していることに何かヒントが隠れているのかもしれません。
□どうやって描いた?2
地上で“地上絵”を見るとどう見えるでしょうか。マリア・ライヘ女史が研究の為に使った高見台『パラミドール』を訪ねると、柵の中へは入れませんが、比較的間近に地上絵を見ることができます。パラミドールの上で見当をつけたあたりを、降りてきて見ても特に何かがそこにあるわけではありません。
それでは絵はどうなっているのでしょう・・・酸化して暗赤褐色に変色した地表の岩石を、幅1〜2m、深さ20〜30cmほど取り除き、深層の酸化していない明るい色の岩石を露出させているだけなのです。南米大陸を縦断するパン・アメリカン・ハイウェイが地上絵を突っ切って造られてしまったのもある意味仕方がなかったのかもしれません。(分断されたのがトカゲの胴体とシッポの間というのはちょっと面白いですが)
□消滅の危機
ペルー南海岸とアンデス山脈に挟まれたナスカ平原は年間降水量が5〜10ミリという“超”がつくほどの乾燥地帯だったから、変色した石をどけただけの地上絵は保たれてきました。10年おきに繰り返される洪水の影響を受けない場所を選んで描かれていることも研究により分かっています。
しかし、近年のエルニーニョの影響で、それを上回る規模の洪水が起こり、一部の地上絵は消えてしまいました。2007年には地震による被害も受けました。さらにパン・アメリカン・ハイウェイから道を逸れて傍若無人に走り回る車やバイクによる地上絵の破壊も著しく、地上絵の保護策が求められています。
□描かれたのはいつ?
地上絵の中に打ち込まれた木の棒や、出土した土器の破片の鑑定により、先行するパラカス文化の終わる紀元前200年から紀元後800年のナスカ文化の時代に描かれたものであることが分かっています。
□新たな発見
山形大学の研究チームにより、ナスカ平原で100個もの新たな地上絵が発見されました。2005年7月、アメリカの商業衛星によるナスカ台地の南部の画像を分析中に新たな地上絵を発見。2006年3月に現地調査を行って、未発見のものと確認しましたものの、残念なことに地上絵には車の轍跡が走り、一部の地上絵はすでに破壊されてしまっていました。
アメリカ米航空宇宙局(NASA)が管轄する資源探査衛星「ランドサット」から送られてきた衛星写真には、全長50kmにもなる左右対称の「矢印」模様の図形が写っていました。この矢印は真南の方角を正確に指し示しており、明らかに人工物であると断定できます。上空900kmから確認できるほどの巨大な絵を何のために、どうやって描いたのか、謎は深まるばかりです。
<<観光のポイント>>
サル(全長約80m)
クモ(全長約46m)
ハチドリ(全長約90m)
クジラ(全長約65m)
トカゲ(全長約180m)
オウム(全長約165m)
コンドル(全長約135m)
ペリカン(全長約280m)
イヌ(全長約50m)
宇宙人または宇宙飛行士(全長約20m)
木(約70m)
なぜか片方だけ4本指の“手”(全長約50m)など
遊覧飛行へと飛び立ち、おそらく一番最初に目にするのは「宇宙人」でしょう。この絵は地上絵としては小さいものです。同じ程度の絵を探してしまって、次の地上絵があまりの大きすぎて目に入らない、ということも起こりがち。視野を広くして地上絵を探しましょう。
また、テレビや写真で見るほどくっきりとは見えないことがほとんどなので、とにかく事前にそれぞれの地上絵の図柄を覚えておくと探しやすいと思います。
<<行き方>>
・リマより空路でイカまたはナスカ
・リマより車/バス6〜7時間
(クスコからバス4〜5時間)
(アレキパよりバス9時間)
*リマから日帰りか一泊二日で行くのが一般的です。早朝出発・夜帰着と少々ハードにはなりますが、陸路での日帰りも可能です。
*一泊二日で行くなら、パラカスに宿をとり、“リトルガラパゴス”と呼ばれるバジェスタス島を組み合わせることも可能です。
※遊覧飛行は午前も午後も行なわれますが、ナスカの気候の特徴として午後には風が吹きます。風に吹き上げられた砂埃が地上絵をうっすらと覆い、見づらくなってしまいます。(小型機は地上絵を機体左右の乗客に見せるために急旋回を繰り返します。これには普段は乗り物酔いをしない人でもさすがにダウンするのも珍しくはありません。酔い止めの薬を用意するのとともに、止むを得ず午後のフライトになってしまった場合には昼食の量などにも気をつけましょう。)
<<ナスカの地上絵の情報HP>>
・2006年に新たな地上絵が日本の調査チームによって発見した
「山形大学人文学部 ナスカの地上絵プロジェクト」HP
http://nasca.kj.yamagata-u.ac.jp/
・楠田枝里子さんのHP
http://www.erikokusuta.com/maria.html マリア・ライヘ基金
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