滅亡への序曲!?

 山川谷みく、彼女がこの街へ夜逃げ同然で引っ越してきて一年以上が 好きだのではなく過ぎた。彼女かこの街へ来た年から台風の 上陸数の記録更新が続く事になる。そしてその度に 悲惨な爪あとを残しつづけ、日本全土が台風銀座と 化してしまったのだった。次の年はそうでもないと思われたが 次の年は米国がハリケーン銀座と化してしまった。 もちろん、それに加えて急増しつづける犯罪、 地震の脅威も存在するこの国で生活を維持、守り、生き延びる事は 極めて困難を要する事は明白だった。いや、この国だけではない、 この星を襲う異常気象や戦争、難病、凶悪犯罪、貧困、飢餓、ここには希望という物が 消えてしまったのかもしれない。しかし、みくのいる場所は 幸いにも安全が保障されている。なぜなら、そこは彼女が 住んでいた星、地球ではないからだ。

「おじいちゃーん。」
 みくが町を歩いていると彼女の前を一人の男の子が走っていった。 その先には60歳くらいの白髪の男が立っていた。男の子の祖父だろう。
「お父さん、どうしてここに。ずっと連絡が取れなかったので心配していたんですよ。」
 男の子の父親と思われる人物が、白髪の男に話しかける。白髪の男は、
「いや、親切な人に助けられてな。ここにすんどるンじゃ。 まあ、住み慣れた村を離れるのはつらかったが、ここの人たちは皆親切だしの、 ずっとここで暮らす事にしたんじゃ。それより太郎、お前こそなぜここに。」
「いや、ちょっと家内が……。」
「ママも元気だよ。もう無駄遣いしないってパパと約束したもんね。 これからおじいちゃんと一緒に暮らせるね。」

「やっぱり私って、変わってるのかなぁ。」
 自分から遠ざかっていく幸せそうな親子三代を見ながら、 みくはため息をついた。そのとき彼女の肩……いや、 彼女は180センチ近い長身なので背の低い人だったら 肩をたたくのはちょっとやりにくいかも……ということで、 と、余分な説明はその辺にしておいてとにかくだれかに背中をぽんと たたかれた。
「だれよ!」
 みくはふりむいた。
「あ、やっぱりみくちゃんだー。」
 そこにはみくと同じ背丈ではなく年齢くらいの女の子がみくを見上げていた。 いきなり背中をたたかれてびっくりしたものの、 なぜか怒る気にはならなかった。その女の子を見下ろしていた みくはしばらく考えて、
でも確かこの顔は……。」
「まだ思い出さない?小学校のとき一緒だった……。」
「あ、もしかしてジュンちゃん?」
「みくちゃんすっごく背が伸びていたからびっくりした。 人違いだったらどうしようかと思っちゃった。」
「だったらたたく前に確かめてよ。」

「ここのノリトセケーキおいしいんだよ。 今日は私がおごるからみくちゃん心配しなくていいよ。」
 みくと彼女がジュンちゃんと呼んだ女の子、ちなみに名前は美穂谷 純という。二人は先ほどの場所からさほど離れていない喫茶店にいた。

35154号室
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