地域自立支援



地域自立生活支援における「自立生活」は、従来であれば、低所得者問題が社会的に大きな課題であった時代にあっては、経済的自立でよかった。しかし今日においては「自立生活」の考え方を多角的にとらえなければならない。

 地域自立生活支援という場合の「自立生活」の枠組みは、@どのような労働能力を有し、どのような労働する機会を有しているかどうかという意味での労働的自立、A精神的・身体的に自己実現、学習、スポーツ、文化活動を楽しむ機会を有しているかどうかという意味での精神的・文化的自立、B精神的にストレスを抱え心のリズムを失っていたり、身体的に自立が困難といった意味での健康的・身体的自立、C自らの生活を管理し、日常生活を維持できる能力を有しているかどうかという点の生活技術的自立、D地域においても、社会においても豊かな人間関係を持ち、集団への帰属や対人関係をもてているかどうかといった点での社会関係的自立、E自らの生活に関わる意思表示を行い、必要なサービスを選択したり、契約を行ったり、政治の主人公として社会参加できる能力を有しているかどうかという点での政治的・契約的自立の6つの枠組みから「自立生活」が考えられる必要がある。

 このような新しい「自立生活」支援を考えていくと、専門家が専門性の名のもとに一方的にアセスメントを行い、ケア方針を立ててサービスを提供することは許されない。サービスを必要としている人が何を求めているのか、どのような人生を送りたいと考えているのかを聞き出し、明らかにし、そのうえで専門家が考えるサービスや自立生活支援の考え方を丁寧にインフォームド・コンセント(説明合意)し、本人の生きる意欲、自立しようとする意欲を喚起する(エンパワメント)ソーシャルワークの実践が必要になる。

 以上の地域「自立生活」の捉え方を元に、ここではその支援方法の一つとして、高齢者分野における「小規模多機能型居宅介護」について言及したい。

 小規模多機能型居宅介護は、介護保険制度での地域密着型サービスとして位置付けられているものである。地域密着型サービスとは、高齢者が中重度の要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた自宅または地域で生活ができることを理念として平成18年4月から創設された介護保険サービスであり、小規模多機能型居宅介護の他、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、夜間対応型共同生活介護、認知症対応型通所介護などがある。

 小規模多機能型居宅介護は、通いサービスを中心に、訪問、宿泊などを組み合わせることによって、利用者に、家庭的な環境と地域住民との交流の元で、その有する能力に応じ自立した生活を営むことができるよう支援するサービスである。従来の介護サービスと大きく異なる点は、それまで別々の事業所にて提供されていた通い(デイサービス)、訪問(ホームヘルプ)、宿泊(ショートステイ)を一つの事業所で行うことができることにより、顔なじみの職員が、利用者の態様に合わせて柔軟にサービスを提供することができる点にある。

 また、地域との連携も努めるよう運営基準に明記されており、特に施設による利用者抱え込みを防止し、地域に開かれたサービスにするため、事業所毎に地域代表者や市職員、家族代表者、利用者等で構成される「運営推進会議」を概ね2ヶ月に1回程開催することとされている。

 私は市職員として、この「運営推進会議」に出席しているが、この会議が本来の目的である「地域に開かれたサービスにするため」に機能しているかどうかというと未だ十分でない点があると感じる。まず、「利用者」自身が、出席することが稀である。その理由として、「利用者が認知症であるため」と事業者側は説明するが、「認知症」=「会議に出席できない人」という判断がそもそも間違いなのではないだろうか。地域自立生活を考える場合に、利用者主体のサービスを提供するのであれば、この運営推進会議こそ、利用者が出席するべきであると思う。また、利用者が過ごしているリビングとは離れた別室で会議を行うところもあり、出席する地域住民の方や市職員は利用者の方を全く見ないこともある。

 「運営推進会議」を一つの例として挙げたが、その事業所を利用する方の地域自立生活を支援するのであれば、まず、一人一人の利用者の地域との繋がりを増やしていくべきであると考える。人によっては家族が遠方にいる、死別している等、身寄りのない独居の方もたくさんいる。その方たちが介護サービス(支援)を通じて、一人でも多くの「人との繋がり」を形成していくのが理想であると思う





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