少子高齢化社会について



 わが国では、戦後「少子高齢化社会」を迎え、一人の人間が一生の間に概ね経験する、進学、就職(開業)、結婚、出産、子育て、退職等のいわゆるライフサイクルに大きな変化が出てきた。まず、世界と比較した日本の「少子高齢化社会」への推移の特徴を明らかにし、その社会における家族関係の変化や、周囲の環境変化を踏まえ、ライフサイクルがどのように変化していったのかを述べていきたい。

 「少子高齢化社会」とは、その次代を支えるべき子供の出生率が極端に低下し、老年期の人々の割合が高くなる社会を指す。いわゆる「少子化社会」と「高齢化社会」が同時に存する状態であるが、まず「高齢化社会」に着目したい。

 1956年に国際連合が作成した報告書「The Aging Population and Its Economic and Social Implications」の中で老年人口(65歳以上)の割合が7%を超えた社会を「高齢化社会」と呼んでいる。日本では1970年に老年人口割合が7%を超え「高齢化社会」へと突入したが、その後も比率は増え続け、2000年には17.4%となっている。注目すべきは、他国と比較した日本の高齢化速度で、65歳以上の人工比率が7%から14%に達するまでの所要年数が先進主要国のアメリカ、イギリス、ドイツなどでは42年〜69年なのに対し日本ではわずか24年となっている。

 一方「少子化社会」においては、1人の女性が一生の間に産む子供の平均数を現した合計特殊出生率が戦後の第一次ベビーブームに当たる1949年に4.32であったところ、2005年には1.26まで下がっている。こうした出生率の低下の背景には、女性の晩婚化や出生年齢の高齢化、さらには未婚化といった社会現象が考えられる。こうした傾向に影響しているものとして、高学歴化やそれにともなう就業率の上昇、女性(又は男性)の育児支援体制整備の遅れや、結婚や子を持つことへの意識の変化などが挙げられる。

 こうした「少子高齢化社会」のなかで、家族関係はどのように変化していったのか。

 まず、日本は長年「家」制度の下で長子相続が当然のこととされており、その跡取りが老親を扶養するのも当然のこととされていた。したがって必然的に家族構成についても3世代もしくは4世代の直系家族が同居する形となり、老親扶養及び高齢者介護は極めて安定した形をとってきたのである。

 しかし、戦後の家族構成は、地震の親と同居しない夫婦及びその子供から成る核家族化が広まる。これにより高齢者夫婦のみの世帯、又は高齢者単独の世帯が増加していき、老親者に対する家族介護が不安定化していく。

 これらの現象の要因としては、産業が都市部に集中するための労働力の地域移動や、出生率の低下、夫婦家族制の理念の浸透などが挙げられる。

 これら家族関係の変化から、老年者に対する介護は「家族での介護」から「社会での介護」形態へと移り変わっていく。2000年4月より開始された介護保険制度はまさにこれらの動向を踏まえた「介護の社会化」を意味している。

 以上、戦後の日本におけるライフサイクルの変化について、社会の状況変化を踏まえながら述べてきたが、一概にどの時代のライフサイクルが優れているかということは言うことはできない。

 重要なのは、社会の実情に応じ、個人の主体性や尊厳を保持することができる安定的な制度を模索していくことである。

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