年金



 日本では、1961年以来、自営業者や無業者を含め、国民全てが公的年金制度に加入し、老齢、障害、死亡に備える国民皆年金体制となっている。年金の種類には全国民を対象とする国民年金、民間企業の一般被用者を対象とする厚生年金保険、公務員などの特殊職域の被用者を対象とする共済年金等があり、以下それぞれの制度の仕組みについて述べていく。

 まず、国民年金についてであるが、国民年金の被保険者には、法律上の要件を満たせば当然に被保険者となる強制加入被保険者と、自分の意思で加入できる任意加入被保険者とがある。また給付には、全被保険者に共通する基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)がある。

 老齢基礎年金は、原則として受給資格期間が25年以上ある者が65歳に達したときに支給される。障害基礎年金は、初診日において国民年金の被保険者であった者で、日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の者が、受給資格期間を満たし、障害認定日において障害等級の1級または2級の障害の状態に該当する場合に支給される。遺族基礎年金は、国民年金の被保険者や老齢基礎年金の受給権者等が死亡した時に、子のある妻、または子に支給される。

 厚生年金保険の適用は、健康保険と同様に、一定の要件に該当する事業所または船舶を適用事業所とし、そこに使用される70歳未満の者を被保険者としている。適用事業所には、法律上当然に適用される強制適用事業所と、事業主の申請によって適用される任意適用事業所がある。厚生年金保険の給付には、老齢厚生年金、障害厚生年金及び障害手当金、遺族厚生年金などがある。老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間のある者で老齢基礎年金の受給資格期間を満たした者に、原則として65歳から支給される。障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病が原因で、障害基礎年金に相当する障害(1級・2級)が生じた時に、障害基礎年金に上乗せして支給される。また、障害基礎年金に該当しない程度の障害であっても、厚生年金保険の障害等級表の障害に該当するときは、独自の障害厚生年金(3級)または一時金として障害手当金が支給される。遺族厚生年金は、次のいずれかに該当する場合に、所定の遺族に支給される。@被保険者が死亡した時、A被保険者であった間に発生した傷病が原因で初診日から5年以内に死亡した時、B1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した時、C老齢厚生年金の受給権者又は受給資格期間を満たした者が死亡した時

 共済年金は、公務員等の特殊職域に設けられている共済組合の年金部門である。共済年金には、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員を対象とする3つの制度がある。厚生年金保険の被保険者は70歳未満の在職者で、私学共済の加入者も同様であるが、国家公務員と地方公務員共済では年齢要件はなくすべての在職者が組合員である。給付の種類は、退職共済年金、障害共済年金、障害一時金及び遺族共済年金であり、いずれも原則として基礎年金に上乗せされる報酬比例年金である。退職共済年金の支給要件は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしており、支給開始年齢に達して退職すれば全額が支給され、在職していれば報酬によって全部又は一部が支給停止される。

 以上が各年金の制度概略であるが、近年の年金制度の課題としてまず、第3号被保険者制度のあり方である。この制度については、働く女性と専業主婦との間で不公平であるとか、女性の就労に抑制的である等の理由で、専業主婦からも保険料を徴収するなど、第3号被保険者制度を見直すべきだという意見が高まっている。一方、負担は能力に応じ、給付は必要に応じるという社会保障原則からして、専業主婦には負担させるべきではない、負担を求めると未納が発生し、女性の年金権の確保が困難になるとして、第3号被保険者制度を支持する意見もある。

 次に、年金制度一元化の課題である。これまで一階部分については、基礎年金導入による一元化が行われ、二階部分についても、船員保険の職務外の年金、旧三公社の共済年金、農林共済の厚生年金への統合、国家公務員共済と地方公務員共済の財源単位の一元化が行われ、私学共済を含む3つの共済年金と厚生年金の一元化が残された課題とされている





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