介護保険法は、加齢にともなって生ずる心身の変化に起因する疾病などにより要介護状態になったものに対し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な健康医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行い、国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的としている。
この法律が成立した社会的背景には、@要介護老人の急増と家族介護の限界 A社会的入院など医療保険に介護給付を依存することの限界 B限られた対象者への行政措置制度からサービス利用者の選択による契約制度への社会福祉の転換 C経済の規制緩和の一環としての介護分野への企業参入の促進 などがあった。
実際に介護サービスを受けるためには、まず対象者が保険者である市町村において、その介護の必要程度を確認するための要介護認定を受けなければならない。市町村は、対象者からの申請を受け付けると、まずその方の心身の状況を確認するため訪問調査を行い、同時に主治医に意見書の提出を求める。その2つが出揃ったところで、介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者により構成される第三者機関)にかけ、認定結果を出すようになっている。申請から結果が出るまでの期間は約30日である。
認定の結果が出たところで介護サービスの利用に移るのであるが、まず介護サービスには大きく在宅サービスと施設サービスとに分けられる。前者はホームヘルプサービスやデイサービス等、居宅を中心として行なわれるものであるのに対し、後者は特別養護老人ホーム等、施設へ入所して介護を受けるものである。
在宅サービスは、上記で挙げたホームヘルプサービスやデイサービスの他、訪問看護・リハビリテーション・福祉用具レンタル・ショートステイなど様々なサービスがあり、これらを利用者の心身の状況に合った最適な形で組み合わせる必要がある。このサービス計画を立案を補助するのが介護支援専門員(ケアマネジャー)である。介護支援専門員はまず利用者に対し、その方に本当に必要なサービスは何かということを把握するため、居宅を訪問しアセスメント(課題分析)を行なう。次にそれを元にサービス計画の原案を作成し、実際にサービスを提供する事業者や本人を交えてサービス担当者会議を行い、ここでようやくサービスの開始となる。
以上、おおまかに介護保険制度のサービス利用までの流れを説明してきたが、平成18年度より、予防重視型システムへの転換、新たなサービス体系への確立等の介護保険法の大幅な見直しがなされた。
ここでは新たに創設されたサービス体系における「地域密着型サービス」、その中でも「小規模多機能型居宅介護」に焦点を当てて論じてみたい。
平成18年度の介護保険法改正において、認知症高齢者や1人暮らし高齢者が出来る限り住み慣れた地域での生活ができるようにするために創設されたサービス体系が「地域密着型サービス」である。その中の一つに「小規模多機能型居宅介護サービス」がある。これは「通い」を中心として要介護者の機能や希望に応じて随時「訪問」や「泊まり」を組みあわせてサービスを提供することで、要介護状態が中重度になっても在宅での生活が継続できるよう支援するサービスである。
小規模多機能型居宅介護は「通い」「訪問」「泊まり」の機能を有しているため、利用者の要望にどこまで応えるべきか悩むケースがある。例えば普段は介護サービスを利用しないが、家族が所要で出かけるときにだけ心配だから宿泊サービスを利用させてほしいといった要望や、あるいは病院への通院のためだけにタクシー代わりに利用させてほしいといった具合である。
「小規模多機能型居宅介護」は、継続性を重視したケアを念頭に置き、「通い」「訪問」「宿泊」のどれをとっても、顔なじみのスタッフが対応することで、その高齢者の「暮らし」を支えようとする制0度であり、上記のような使い方は本来の趣旨とは異なるものである。
私たちはこの制度の創設された経緯や理念を学び、高齢者にとって「真に必要なケア」を模索しながら、「地域密着型サービス」における「小規模多機能型居宅介護」の周知を図っていかなければならない。
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