なでしこ通信 

第18号 

 目  次 

○男女共同参画基本法は根本から見直せ
衆議院議員 稲田朋美
○常識では読み解けない「松山市男女共同参画推進条例」

      健全な男女共同参画社会をめざす会          H19・9・1

  なでしこ通信   第18号

  

男女共同参画基本法は根本から見直せ

●衆議院議員 稲田 朋美

【ジェンダーについて】

  ジェンダーとは「社会的・文化的に形成された性別」である。国の第二次基本計画では「文化的」という言葉が削除された。自民党の議論の中で「男らしさ」「女らしさ」の区別のもとづく鯉のぼり、ひな祭りなどの日本の伝統文化を否定するのかという批判が相次いだからである。

  しかし「文化的」という言葉を削除したことで問題は解決したのだろうか。「社会的性差」を否定することは、すなわち「男らしさ」「女らしさ」を否定することに他ならない。識者によれば「社会的性差」とは「男性は外で働き、女性は家庭を守るべき」「女性は政治家や管理職、科学者に向いてない」という固定的な役割分担であり、見直しが必要であるという。しかし日本は自由で平等な国である。もはや「あゝ野麦峠」のような女性をモノとして扱っていた時代ではない。女性も政治家になれるし、科学者にもなれる。多くの女性が社会で活躍している。チャンスは平等、否、平等以上であるといってよい。

  このようなわが国において、政府が基本法に基づいて「ジェンダーの視点」を強調することは、かえって、たとえば信念にもとづいて家庭で主婦業に専念し子育てしている女性に対し、それがつまらない仕事であるかのような偏見を生むことにつながるおそれがある。家庭で子育てに専念している女性も立派な社会参加である。亡くなったわたしの母は専業主婦だった。学校から帰ってくるといつも母が待っていてくれて、母とおやつを食べたり、テレビをみたりすることがとても楽しみだった。わたしはそういう母に育てられたことをとても感謝しているし、主婦に専念していた母を尊敬している。すべての女性が家の外で賃金という対価を得て働きたいと思っていると決め付けるのは傲慢にすぎる。

  何よりも「ジェンダー」という概念を認めることが、すなわち社会的に男女が平等に扱われていない、支配者たる男と被支配者たる女の階級闘争というイデオロギー運動なのである。

【優遇制度について】

  第二次基本計画では「国の審議会等については…できるだけ早い時期に女性委員の割合を30%にするという目標が掲げられ、着実に達成がはかられてきた。これを踏まえ、新しい目標の設定など更に努力が必要である」と書かれている。その他、女性国家公務員の登用についての数値目標(30%)、国立大学女性教員の数値目標(20%)などの記載がある。これは15年度の男女共同参画推進本部の決定に基づくものらしいが、おいおい気は確かなの?と問いたくなる。

 そもそも本来の男女平等は、性別に関係なく、能力に応じて平等に登用されるということであって、女性の割合を上げるために能力が劣っていても登用するなどというのはクレージー以外の何ものでもない。

 数値目標の対象は人事だけではない。

 「育児休業取得率を平成26年までには男性10%、女性80%」「夫婦間のあらゆる暴力の根絶で、平手で殴る・殴るふりをして脅すのも暴力と認識する国民の割合を100%にする」
 このような数値目標にどのような意味があるのだろう。

【家族経営協定について】

  農業は国の基本である。「美しい国」の中核に農業の再生がある。女性が積極的に農業に取り組むことはどんどんすすめていってほしい。

 しかしだからといって、なぜ「家族経営協定」なのかがわからない。「家族経営協定」というのは、農家に嫁いだ女性の家事や子育て、農作業などに対しても対価として賃金支給できるように家族で契約を結ぶことを奨励する施策である。ところが農水省の推進政策にもかかわらず、いっこうに広まらない。農水省作成の「家族経営協定」の例に「相互の責任ある経営の参加を通して、近代的な農業経営を確立するとともに、健康で明るい家庭の建設を目的とする」と書かれているが、近代的農業と健康で明るい家庭にどんな関係があるというのだろう。

 夫婦の間で労働時間や休日の取り決めを書面で交わすことの奇妙さは「正月、盆等の休日については甲、乙教義の上決める」なんて、全くナンセンスで、協議が整わなかったらどうするのであろう。大体農家の嫁が虐げられている、もっと個人のとしての自覚をもて、という発想が古い。家族の再生、地域の再生はまさに一家総出、地域総出の農村文化の再生に他ならない。「家族経営協定」なるものはそういう文化を破壊する方向に行くのではないか。 「別冊正論07」より抜粋                 



常識では読み解けない

「松山市男女共同参画推進条例」

 
 この夏、松山市の条例の問題点について分析してみました。詳しくは同封の冊子をご覧いただくとしてここではその骨子をご紹介します。

@読み解きのきっかけ

 一般人が条例を詳しく読むなどということは滅多にあるものではない。条例改正運動を進めている我々も例外ではない。

 ある松山市議が、「新人市議の学習会で男女共同参画を取り上げることになったが、どんな質問があるか」と言われた。それが条例を読み解き、本号付録の長い文書を作成するきっかけになった。

Aちりばめられているジェンダーフリーの隠語

 松山市男女共同参画推進条例にはジェンダーフリーという言葉は出てこない。しかし、ジェンダーという言葉が7回出てきて、そのうち5回がジェンダーの解消、つまりジェンダーフリーの意味で用いられている。1回は、「社会的または文化的に形成された性別」という意味の説明の際に現れる。5箇所で明確にジェンダーの解消が規定されているのであるから、条例がフェミニズムに汚染されていることは間違いない。ところが、それだけではない。注意深く読むと、随所に毒を含んだ隠語がちりばめられていて、条例全体がジェンダーフリーにまみれているのである。とはいえ、隠語も尤もらしい言葉であるから、常識的に軽く読んだ程度では騙される。不幸なことだが、猜疑心が必要である。

Bフェミニズムの思想が凝縮されている前文

 前文の冒頭には次のように書かれている。どこが問題かよく考えてみていただきたい。「すべての人が性別にかかわりなく個人として尊重され,自らの意思によりその個性と能力を十分に発揮することのできる社会の実現は,私たちの願いである。」

 フェミニズムでは、男と女は同一であるとみなすから、男女の違いや区別は差別になる。これが「性別にかかわりなく」の意図である。また、性差は生後の育てられ方によって決まると考えるから、「性別にかかわりなく」とはジェンダーフリーという主張でもある。フェミニズムでは、すべての社会事象を支配・被支配の関係から捉える。もちろん夫婦も同じであるから、夫婦関係を断ち切って個人個人をバラバラにしなければならない。これが「個人として」の意味である。要するに家族を基本とする現在の社会を破壊し、個人を単位とする社会の建設を目指しているのである。条例から家族重視の姿勢が読み取れないのは当然と言えよう。フェミニズムでは、個人はあらゆる場において支配・被支配関係から解放されて、自由な意思のもとに行動できなければならない。これが「自らの意思により」の意図である。

 上記の文では、男あるいは女としての役割を果たすことによって尊重されることや、組織や家庭における役割によって尊重されることには意義を認めず、「指示命令で能力を発揮する」場合が圧倒的に多いという現実を無視し、それにまったく価値を認めていない。このように、紹介した一文にはフェミニズムの思想が凝縮されている。条例はその価値観を市民に強制し、またその思想の普及に手を貸している。これはファシズムである。

C何が固定的役割分担かを示さない条例
 
前文では、また

「性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会習慣が依然として存在」しているから解消しなければならないとも書かれている。しかし、何が固定的役割分担で何がそうでないかは具体的に示さない。それは、状況認識が曖昧であり、したがって目的も曖昧であり、さらに、条例の背景にある価値観が不明であることを示している。そういう条例が成り立ちうるものだろうか。立案者はそんなことは承知のうえで隠しているのである。

 普通、条例は一般的に書き、具体的なことは別に定めるが、この慣行を悪用して市民の目を晦ましたのである。事実、松山市男女共同参画基本計画では、あらゆる役割分担が固定的であるかのように扱っている。

D家庭の扱いのお粗末さ

 家庭に関して述べているのは第6条だけである。ただし、述べていることは、「家庭生活における活動と職業生活その他の家庭以外での活動の両立」だけである。一読して専業主婦の否定であることが分かる。家庭は社会の根幹であり、その家庭をしっかり維持し、次代を背負う健全な国民を育てる主婦は立派に社会貢献しているのだという認識が露ほどもない。この条例は主婦についても子育ての大変さと重要性についてもまったく触れない。それが家族を破壊しようとする条例の性格をよく表している。

E性についての奇怪な記述

 第10条には性について奇怪なことが書いてある:

「男女が,互いの性を尊重するとともに,妊娠,出産その他の生殖と性に関し,互いの理解を深め自らの決定が尊重されること」

 第1の疑問は、この文の主語がなぜ夫婦でなく、男女なのかということである。この条例は非婚妊娠や非婚出産を当然のこととして認めるのであろうか。

 第2の疑問は、「互いの性を尊重する」の意味についてである。「性の自由の尊重」すなわちフリーセックスのことだろうか。それとも同性愛や性同一性障害のことだろうか。

 第3の疑問は、「その他の生殖」とは何かである。もし、体外受精や代理出産のことだとすれば、とんでもない勇み足である。

 第4の疑問は、「性に関し」の意味についてである。また、「性の尊重」と「性の理解」とはどう違うのか。

 第5に「自らの決定」と言うとき、誰に対して自らなのか。

 第10条の見出しは、「性の尊重と生涯にわたる健康への配慮」となっている。しかし、性の尊重と健康への配慮は直接の関連がない。実は、これはジェンダーフリー用語の「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」に対応するのである。簡潔に言えば、「女に中絶の自由を保証し、出産を担う女を尊重せよ」という主張である。これも、立案者がフェミニストであった証拠である(詳細は「なでしこ通信付録」参照)。

●条例がジェンダーフリーに汚染されていることを示す例をいくつか挙げた。他にも数多く問題点があるので、本号付録「ジェンダーフリーを鍵にして松山市男女共同参画推進条例を読み解く」は長くなってしまった。しかし、是非お読みいただきたい。最後に、教育の場における男女共同参画の推進と教育再生は両立しないことを附記しておく。

■□□事務局からのお知らせ■□□

9月27日(木)午後7時から松山市の市民参画まちづくり課の方々と男女共同参画についての話し合いをします。参加をご希望の方は下記までご連絡下さいませ。

■桜井裕子先生が9月8日(土)高知で講演されます。詳細は090-1004-4004 安岡様まで。

■月2回「めざす会」学習会を開催しております。日時(原則は第1&3金曜日)や会場は随時お問い合わせ下さいませ。

■会費の切れる会員の方には振替用紙と「入会のご案内ご賛同者名簿」を同封しております。現在の会員数は615名。1,000名をめざしております。この機会にご家族やご友人にもご入会いただけますようお願い致します。新しい方のお名前は通信欄にお書き下さい。

*** 健全な男女共同参画社会をめざす会 ***

会長 小笠原ミワ子

790-0931 松山市西石井1-3-30

電話090-3181-4004  FAX 089-964-3903
メール t64r59@bma.biglobe.ne.jp


 

 

 

 

 



 
©2008    
 

 

 

 

Ads by TOK2