大英帝国海軍 艦隊型駆逐艦  

【 A 級 】






アカスタ 基準排水量 1,350t 起工 1928年8月13日
全長×全幅 98.4m × 9.83m 竣工 1930年2月11日
喫水 3.73m 造船所ジョン・ブラウン社
機関出力/最大速力 34,000馬力/35.25ノット 搭載燃料
航続力
重油380t
15ノットで4,800浬
兵装 QF Mk.\ 12.0cm単装砲×4基
53.3cm4連装魚雷発射管×1基
2ポンド単装砲×2基
同型艦(計8隻) H09 アカスタ Acasta
H12 アケイティーズ Achates
H45 アケロン Acheron
H14 アクティヴ Active
H36 アンテロープ Antelope
H40 アンソニー Anthony
H41 アーデント Ardent
H42 アロー Arrow
乗員138名


 第一次大戦終結から6年近くもの間、英国海軍では新規の駆逐艦建造計画は持たれなかった。
 その背景には経済的な問題をはじめ、世界でも屈指の保有数、性能に優れる戦時建造艦の存在等の要因が挙げられる。中でも1917〜19年にかけて就役したV/W級駆逐艦は、第二次大戦時においても、敵潜水艦の魔手から友軍商船を守るための護送任務に従事し、船団護衛に必要な護衛艦の数が揃うまでの貴重な時間を稼いでいる。
 しかし1920年代も半ばに入ると、機関部や建造工法といった技術面での進化が進み、時期的に見ても旧弊化しかかってきた戦時建造艦の代替を考えなければならない頃となる。これに対し海軍省は、駆逐艦建造技術に長けた5社(ヤーロー、デニー、ソーニクロフト、ホワイト、ホーソン・レスリー)に新型艦の入札を指示・・・・・・結果、アマゾン、アンバスケイドという2隻の駆逐艦が完成する。(アマゾンはソーニクロフト社、アンバスケイドがヤーロー社)
 2艦は外観こそ似通っていたものの、内部構造の設計はそれぞれで異なっており、例えばアマゾンは主缶に過熱式三胴型を、操舵機構に蒸気式を採用する一方で、アンバスケイドは予熱装置付き四胴型、電動式操舵機構を用いている。アマゾンは当初、34.5ノットの速力しか発揮できず、アンバスケイドの37.66ノットに劣る上に燃費の面でも後塵を拝する結果となったが、改修によって最大38.7ノットまで数値の向上を見せている。
 ともあれ、新時代の駆逐艦、そのプロトタイプとして両艦は大きな成功を収め、その結果を元に英国海軍は1925年から37年まで77隻に及ぶ一連の準同型型駆逐艦が建造されることとなる。

 1926年7月。
 英海軍省は27年計画の新造駆逐艦に対する要求事項の検討を開始する。
 当初の要望としては、16ノット2000浬+3分の2全力で24時間に達する行動半径、魚雷発射管の4連装化(上述の試作艦アンバスケイドは3連装だった)、12cm砲は新型の全鋼製砲とするものとされていた。しかしこれによると排水量が2000トンを超過してしまうものと思われ、また、その他の冷暖房や衛生設備といった居住性の改善やコスト問題による単艦価格の抑制といった要望の結果、最終的にアンバスケイドより200トン増しの排水量で決着を見る。

 本級は満載時の速力が31ノット強まで低下するという欠点があり、これに対してヤーロー社が速力38ノット、航続距離13ノットで6000浬を保障する艦の提案がなされていた。検討の結果、アケロンが稼動気圧500psi、華氏750度のソーニクロフト者特製缶を装備することとなった。参考までに述べるならば、他艦の主缶の数値はそれぞれ275psi、華氏600度であった。残念ながらアケロンが装備した特製缶は取扱い困難を来たし、これに顔をしかめた海軍省は、のちのG級駆逐艦建造の際、フェアフィールド社から提案された新型機関搭載案を却下している。
 A級の主兵装はMk.\ QF12cm単装砲4基のほか、対空兵装に2ポンド単装砲2基、魚雷兵装に53.3cm4連装発射管2基であった。
 このうち12cm単装砲は全高型シールドを装備し、最大仰角は30度・・・・・・実際には仰角60度の砲座もあったのだがトラブルのために採用されず、また計画されていた全鋼製砲も開発遅延の状態であった。
 当初、本級はアスディック未装備で爆雷携行数も6本のみだったが、主砲や後部魚雷発射管を撤去して爆雷投射機を4基搭載、携行弾数も70本とする改装を受けている。この他、20mmエリコン機銃やレーダー、HF/DFといった装備強化も行なわれた。

 姉妹艦8隻中、戦没したのは5隻で、その内の1隻であるアローは1943年8月に給兵艦フォール・ラ・モンテ Fort La Montee の爆発事故に巻き込まれて修理不能となっている。また、アケロンは1940年に触雷沈没、アケイティーズはバレンツ海で独重巡洋艦アドミラル・ヒッパーに撃沈された。
 同級の中でもっとも有名なのがアカスタとアーデントで、両艦はノルウェイ撤退戦において空母グロリアスを守るべく、追撃をかけてくるシャルンホルスト級巡洋戦艦2隻に立ち向かい、撃沈された。残念ながら彼女らが守ろうとしたグロリアスも、最終的に敵艦の手にかかり失われてしまったが、このときアカスタの放った魚雷がシャルンホルストに命中、同艦はその後半年に渡って行動の自由を奪われることとなる。
 この他、同級は独潜U-41、U-179、U-791、伊潜トリトーネといった敵潜水艦を撃沈する戦果を上げ、旧式艦ながらも無視できない活躍を見せている。
 大戦が終結したときに生き延びていたのはアクティブ、アンテロープ、アンソニーの3隻で、いずれも1946〜47年にかけて売却され、約20年に及ぶその役目を終えた。  




写真:"Achates "
参考:大日本絵画社 「第二次大戦駆逐艦総覧」






日本型  アメリカ型  イギリス型  ドイツ型  敵専用艦  その他

艦艇/航空機名鑑   トップに戻る