「長官、退避を!!」

 脇に控える参謀の悲鳴が耳朶を打った。
 直衛艦の対空砲火を突き破った大型爆撃機が迫る。

「あの弾幕射撃を受けて無傷だと・・・・・・そんな馬鹿な!」

 呪詛のように上げられた叫びを、鋼鉄の雨が貫いた。
 帝国海軍の誇る正規空母『加賀』の艦橋を、戦車砲並みの弾丸が撃ち砕く。風防が割れ、天井が崩落し、備え付けられた伝声管が四散する。轟音が響く。爆撃機が頭上を通過する。発動機から漏れる振動が、空中を通してこちらにまで伝わってくる。大気が震えていた。
 爆撃機の下面から撃ち出される砲弾が、加賀の巨体を包み込む。驟雨の如き鉄量が、瞬きをする間に降り注ぐ。
 船体の底が大きく震え、遅れるようにして鈍い爆発音が届き、その振動も、さらに続く火薬と爆風の狂乱に囲まれて破壊の協奏曲を奏でる。地獄へ繋がる鎮魂歌。肢体を裂かれる加賀の悲鳴が、戦場音楽に彩りを添える。断末魔、だ。
 炎上する残骸の隅から、敵爆撃機が艦隊の後方に飛び抜けていく様が見えた。



「長官」

 リンがこちらを見据えてきた。
 その双眸に、決意の眼差しが見える。
「・・・・・・補佐官?」

 こちらの言葉には応えず、異界の水兵は睨むような目で、播磨と、燃え盛る遊撃部隊の護衛艦を交互に見た。
 サイパン沖で発生した、味方撃ちという異常事態。遊撃部隊側の勝利を確信した直後に起きた、双胴戦艦の暴走。予想もつかなかった展開に、それまで敵艦隊と砲火を交わしていた友軍艦の動きが止まる。しかし少年は、あらかじめそのことを予見していたかのようにひどく冷めた態度を見せていて・・・・・・。
 そして―――言った。「あの暴君を撃沈します。突撃命令を」

 驚愕するこちらを無視するように、オペレーターは断言した。

「破壊目標―――超兵器戦艦・播磨!」

 目標を失いかけていた戦隊は、オペレーターの命令に飛び掛かるようにして播磨への突撃を開始した。
 艦本式ボイラーが高熱を噴き上げ、蒸気タービンが駆動する。狙うべき敵艦を定められた魚雷管が、獲物を求めるように旋回する。艦首が切り分ける波濤が高々と、夕張の両舷に広がった。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・。




 ・・・・・・夢を見ている。
 あの懐かしい、祖国の海で見た夢だ。


 超兵器。
 ただ一隻で一個艦隊に匹敵する能力を持つといわれる、究極の戦闘艦。
 こちら側の技術では製造不可能な動力機関―――モジュール・ドライブと名付けられた不思議なシステムで制御され、通常艦艇では絶対にあり得ない転移能力を併せ持つ。
 我々がこれまでその存在すら知らなかった異界。そこから現れた奇妙な集団。
 自らの手で超兵器を生み出し、同じその手で彼らを破壊するためにこちら側を訪れた、不思議な艦隊。第零遊撃部隊。

 全ての超兵器を破壊した後、彼らはどこへ行くのだろう。
 通常兵器だけで構成された、『現実的』な技術世界に戻すのだろうか。
『覇王』以外の超兵器が破壊され、第零遊撃部隊が標的とする敵もあと僅か。その敵を撃沈できれば、この世界の覇者は第零遊撃部隊となるのだろう。しかし、一度つくり上げてしまった技術を完璧に封印できるものなのか。一時的に世界の技術を制御したとしても・・・・・・いずれまた、超兵器計画が誕生したときのように、採掘されて姿を現すことになるのではないか。
 いや、そもそもそんなことが可能なのかどうか。異界の状態がどんなものであるのか想像もつかないが、世界規模で技術レベルを抑制することなど不可能ではないか。
 どんなに技術が進化しても人の夢までは干渉できぬように。
 どんなに遊撃部隊の力が優れていても・・・・・・超兵器という、この現実に存在してしまった夢を消してしまうことなどできはしない。無から有が生み出されることはあっても、有から無に退化することはできはしない。一度生み出された水がどんな高熱に晒されたとしても―――水が蒸発して、この目に捉えることができなくなったとしても―――、その存在が液体から気体に、そして気体からまた液体に姿を変えて有り続けるように、存在の痕跡を消し去ることなどできはしない。

(そして―――)

 超兵器という、本来ならばあり得なかった夢の存在を許容してしまったあの世界も、二度と元に戻ることはできないだろう。
 台湾沖で神重徳がしたように、その強大な力に魅了された人間が、必ず超兵器をつくり出す。その結末がどうなるかは・・・・・・この世界が辿る運命と似たようなものであろう。

 超兵器。
 この現実に存在することを許された、ひとつの、夢。
 その結末のひとつが、ここに現出しようとしている。


 第零遊撃部隊と、最後の超兵器。
 夢の結末はどの方向に向かうのか。
 そして、あの懐かしい祖国の空を、おれはもう一度望むことができるのか。


 望郷の念が感傷を生み出すよりも先に、南雲の体は光を抜けた。








鋼鉄の咆哮 【 夢の終わりに 】

そろそろ結婚適齢期??? そろそろ結婚適齢期??? 海外旅行保険の加入はコチラ!

[PR] | 店舗デザイン監視カメラ浦和熊谷木更津新橋中国SEO対策消費者金融車 買取テンプレート沖縄旅行免許合宿二輪引越しプレゼントゴルフ会員権留学レーシックマッサージFXアフィリエイトFXホームページ制作デイトレードハワイ旅行タイバンコクハワイ レンタカーベスト ハワイ ホテル レーツバリ島Hawaii hotelsHawaii Activitiesbhhrハワイホテルテキスト広告
【運営会社「パラダイムシフト」サービス】 ハワイ現地オプショナルツアーリラックマ) - ビジネスクラス航空券 - 格安航空券(1) - 格安航空券(2) - 海外ホテル - 韓国旅行 - タイムシェア - ホテル 予約
無料ホームページ - 携帯ホームページ - 無料ホームページ作成 - レンタルサーバー - ブログ - ヴィラ - ハワイ コンドミニアム - バリ島 ホテル - プーケット ホテル - レップチェッカー - 海外旅行 - 国際電話 - ホノルルマラソン - 掲示板監視 - 誹謗中傷 - 宿泊料金比較 - ノースウェスト 航空券 - 旅館