第三話 【狂乱の宴】
1
「敵超兵器、爆発します!」
炎上する超兵器の姿は、夕張の艦橋からも確認できた。
爆炎に包まれる異形の航空戦艦に、更なる射弾が送り込まれる。
「播磨の搭載する、超音速の対艦誘導弾ですね。第四戦隊が補充されたときに、対デュアルクレイター用攻撃兵器として用意されたものです。敵は防空能力が低いというマーシャル沖海戦の戦訓を基に準備されたものですが・・・どれほどの効果があるものか楽しみです」
得意げに言い放つリンの軍帽からは、以前は見えなかった奇妙なコードが伸びていた。短距離無線通話装置―――日本語に直すとそういう意味の名前になるらしい。コードの先には集音機が取り付けられており、短距離ならば明瞭な通話が可能だという。米軍でも同様の装置が艦艇に装備され、戦闘時の艦隊戦術機動に大きく貢献していると聞く。
レシーバーを押さえて、リンが言った。
「第零遊撃部隊司令官より伝言です。”遅レテスマヌ。戦艦播磨、只今ヨリ参戦ス”」
間髪を入れず、播磨が発砲した。武蔵よりも遥か後方で放たれた砲弾は、一気に成層圏まで駆け上がる。同時に、播磨の周囲を固める護衛艦が誘導弾を撃ち放つ。第一戦隊の3隻から発射された奮進弾は、盛大に白煙を噴き出しながらデュアルクレイター目掛けて突進する。
敵超兵器が弾幕を撃ち上げた。無数の火箭が空を埋め尽くす。奮進弾が弾幕の中に吸い込まれた。何発かは砲火に捉えられたようだ。弾頭に銃弾を受け、信管が強制的に作動させられる。炎の華が咲いた。デュアルクレイターの抵抗はそこまでだった。
撃ち漏らした奮進弾が超兵器に殺到する。艦首。飛行甲板。艦橋。砲塔・・・およそ弾の当たらない所はなかった。命中の衝撃で弾頭が割け、大量の火薬に火が走る。炸裂。爆発は至る所で発生した。船体全てが黒煙に覆われる。そこへ、播磨の砲弾が降り注いだ。閃光が走る。超兵器の巨大な体躯が打ち震える。
「第四戦隊、奮進弾を射出。続いて第一戦隊、奮進弾発射。戦艦播磨、発砲」
遊撃部隊は容赦しなかった。休む間もなく射撃を繰り返し、瞬く間に超兵器を追い詰めていく。南雲は、デュアルクレイターが猛攻に晒される姿を暗然と眺めていた。
マーシャル沖、そしてグァム沖でもそうだったが、第零遊撃部隊の戦闘能力には恐ろしいところがある。超兵器・播磨は無論のこと、周囲の護衛艦ですら戦艦部隊を瞬時に無力化してしまう力を持っている。味方に付けばこれほど頼もしい存在はないが、万一敵に回ったとき、どうなるか・・・。それを考えると、暗澹たる気持ちになるのを抑えられない。
「いいですね。このままいけば、無傷で超兵器を屠る幸運に恵まれるかもしれない」
南雲の心中には気付くこともなく、リンが軽口を叩く。
だが、実際に状況は好転していた。あれほど猛威を振るっていたデュアルクレイターは随所を叩かれ、反撃もままならない状態にある。一方我が方は、播磨の増援を受けて一気に勢力を拡大しつつある。沈痛に沈んでいた将兵たちの表情は、今や驚喜に満ちていた。
「敵超兵器、行き足止まります!」
見張り員が叫ぶ。船体の至るところから黒煙を噴き出したデュアルクレイターが徐々に速度を落とし・・・・・・やがて完全に停止した。
「・・・仕留めたのか?」
思わず言葉が漏れる。敵が炎を噴き出した。燃えている。あの異界兵器が。一隻で一個艦隊に匹敵するといわれた超兵器が、燃えている。南雲は身震いした。瞬く間にデュアルクレイターを無力化してしまった、その恐るべき力に。
リンが鋭く声をかける。「超兵器はそれほどやわではありません。あれはおそらく―――」
言い終わる前に、敵が動いた。
「敵超兵器、多数の艦載艇を放出!」
2
それは、まさしく放出という表現にふさわしい光景だった。海面を埋め尽くすほど大量の艦載艇が、デュアルクレイターの艦尾から吐き出される。
「敵水雷艇多数、播磨に向かいます!」
見張りの報告通り、僅かな時間で展開を終えた敵艦載艇は遊撃部隊目掛けて突撃する。速い。駆逐艦に倍するとも思えるほどの高速。一気に距離を詰め、雷撃を行なうつもりか。
敵の意図を読み取った有馬は素早く命じる。
「副砲、射撃目標・敵水雷艇。播磨を守れ!」
武蔵に据えられた60口径15.5cm砲が、ただちに射撃を開始する。高初速で放たれた砲弾が敵を阻止すべく飛翔する。だが、砲弾は大半が敵の後方へ流れた。敵速を読み誤った射撃は効力を発揮し得ない。砲弾は虚しく水柱を吹き上げる。立ち上った水のカーテンを背景に、水雷艇は更に増速。播磨に迫る! しかも―――
「敵回転翼機、直掩網を突破!」
超兵器から指示が飛んだのか。戦闘機部隊の迎撃を振り切った敵回転翼機が、水雷艇の後を追う。直掩隊が追撃をかけるが、間に合わない。敵は遊撃部隊を射程に収める!
「まずい。播磨が―――」
言いかけた有馬は、そこで息を呑んだ。
播磨の周囲を固める護衛艦・・・第一・第四戦隊の5隻が、同時に火蓋を切った。護衛艦の前甲板から白煙が上がる。数はひとつだけではない。対艦攻撃に向かった回転翼機と同じ数の誘導弾が次々と放たれる。敵機が慌てたように散開する。回避に失敗した不運な機体が、誘導弾の直撃を受けて四散する。
生き残った敵機には、弾幕回廊が待ち受けていた。艦首に搭載された備砲が、恐るべき発射速度で発砲を繰り返す。榴弾の雨が敵を襲った。敵に接近した砲弾は自動で信管を起爆させ、爆風が敵を薙ぎ払う。断片が機体に突き刺さる。機体トリムを崩壊させた敵機は落下。重力に抗う術もなく、海面にその姿を消す。
「敵回転翼機、全滅!」
有馬は驚嘆を隠せない。直掩隊がてこずった敵回転翼機を、遊撃部隊は瞬時に撃滅してしまった。
「これが遊撃部隊の実力・・・」
「安心するのはまだです、艦長」
シュウが鋭く言い放つ。その通りだった。
「敵水雷艇、奮進弾を発射!」
遊撃部隊に接近した水雷艇から多数の奮進弾が飛び出す。発射を示す煙が立ち込め、空を覆い尽くす。その数を見た有馬は、思わず絶句していた。
「補佐官、これは・・・!」
シュウも顔を歪ませて応じる。「まずいですね。まさかこれほどとは・・・」
奮進弾の白煙は、完全に空を埋め尽くしていた。蒼穹を白一色が支配する。自由を与えられた奮進弾は、自ら目標を捕捉。突撃を開始する。その先にあるのは―――超兵器戦艦・播磨!
回転翼機を葬った速射砲が奮進弾を迎え撃つ。弾幕射撃! 白の空を黒が染めた。爆風で針路を狂わされた奮進弾が海水を巻き上げ、あるいは断片で弾頭を叩かれて爆発する。
弾幕を突破した奮進弾を、多銃身機関砲が出迎えた。幾千もの弾丸がばら撒かれ、直撃を喰らった奮進弾が使命を果たせずに砕け散る。
遊撃部隊は善戦した。無数の奮進弾をわずか5隻で迎撃し、その大半を撃墜することに成功した。だが全てを食い止めることはできなかった。最後の回廊をくぐり抜けた奮進弾が、播磨に突入した。爆発の炎が、播磨を呑み込んだ。
「播磨、被弾!」
3
銃撃が回転翼を撃ち抜いた。バランスを崩した敵機が海面に滑り込む。へし折れた回転翼が海に突き刺さり、飛散した破片が飛沫を上げる。撃墜を確認して、藤田は息をついた。
周囲を見回す。いつの間にか敵の姿が消えていた。先ほどまであれほど剣呑だった敵機の集団が、今は戦意を忘れてしまったかのように退いている。藤田は眉をひそめた。
「・・・何だ?」
背後から閃光が走った。さらに、爆発音。爆風で気流が乱れる。機体が揺れる。何だ。何が起きた?
振り返る。絶句した。
播磨が、燃えていた。巨大な船体から火柱を噴き上げ、大きく戦慄いている。戦艦・播磨。ただ一隻で一個艦隊にも匹敵するはずの超兵器・・・。
(超兵器とはいっても、無敵の存在ではないということか・・・)
遠方では、敵の揚陸戦艦が誘爆を起こしていた。播磨と遊撃部隊の連続攻撃を受けて大打撃を被り、そのまま動けないでいるようだ。発砲は止まっていた。もっとも、状況は播磨も同じようなものらしい。こちらも黒煙に包まれ、あの巨大な主砲は沈黙したままだ。
超兵器同士の戦い。―――超兵器戦争。そんな言葉が頭に浮かぶ。
藤田は奇妙な感覚にとらわれる。元々この戦争は帝国とアメリカのものだったはずなのに、それが今では、こうして得体の知れない異界兵器同士が砲火を交わす戦いになってしまっている。我々はその異様な戦場の、つまみのようなものだ。超兵器が全ての戦場を左右し、通常兵器はそこに花を添えるぐらいの役割でしかない。戦争の主役となるはずだった帝国海軍は、今やほとんど遊撃部隊の護衛艦のような存在に成り果ててしまった。
(おかしな話だ・・・)
藤田は思う。この戦争の行方はどうなるのだろう。超兵器という、今まで見たことも存在もしていなかったはずの異形種が混入したこの世界―――。
遊撃部隊は超兵器を撃滅するためにここに来たという。それならば、何故彼らは破壊対象であるはずの超兵器を保有しているのか。何故それらを破壊しなければならないのか。そして全ての超兵器を葬り去ったとき、彼らは・・・・・・そして我々はどうなるのか。その疑問に答える声はなかった。
爆音が意識を引き戻した。
正面に、小柳小隊長と佐々木一飛曹の機体が並んでいる。空戦が終息に向かったことで、空中集合が始まったようだ。バラバラになっていた友軍機が、少しずつ集まってきている。
藤田の小隊が合流空域に達する頃には、ほとんどの機体が集合を終えていた。編隊はお世辞にも綺麗なものとは言い難かった。列機が欠けている部隊がほとんどで、僚機が全て揃っている小隊はわずかな数でしかなかった。
敵回転翼機は恐るべき敵だった。あの強大な火力もさることながら、今回新たに投入された対空奮進弾に喰われた機体も多い。特に今回初めて連中と手合わせした二号零戦の部隊は被害が大きいようだった。藤田もはっきりとは見ていないが、発射された奮進弾が友軍機を自動的に追尾するような光景も目に入った。
今回は幸いにも退けることができたが、もう一度襲い掛かられれば、間違いなくこちらは全滅することだろう。九六艦戦では分が悪すぎる。より強力な戦闘機が必要だった。敵の防弾装甲を貫ける大火力、圧倒的な速度、そして搭乗員を守るべき防御力。あらゆる敵を薙ぎ払うことができる究極の機体―――制空戦闘機。
その機体が揃ったときこそ、我々はあの仇を討つことができるはずだった。ハワイ沖で機動部隊を襲撃し、慕うべき多くの戦友を冥府に送り込んだ仇敵―――超音速爆撃機・アルケオプテリクス!
かつて小隊を共に率いた高橋飛曹長。飯田一飛曹。多くの戦友と共に、彼らも異国の海で眠っている。必ず仇は討つ・・・。操縦桿を握る手に力が入る。
かすかな違和感を感じたのは、そのときだった。
―――・・・?
藤田は目を細めた。何かがおかしい。そんな錯覚を覚える。
同じ感覚にとらわれているのは自分だけではないようだった。僚友の佐々木一飛曹、小柳小隊長も互いに顔を見合わせている。
だが、敵襲でないことは確かだった。この空域にもはや敵機は存在しない。ここにいるのは友軍機と、眼下の艦隊だけのはずだった。
藤田は視線を下に向ける。播磨がいた。燃えている。播磨が、燃えている・・・。燃えている・・・・・・。
違和感。
それは予感だったのかもしれない。
不意に、播磨が動いた。舷側に据えられた副砲が向きを変え、砲口が周囲の警戒を務める僚艦に向けられる。それは、第零遊撃部隊第四戦隊の艦だった。
―――・・・え?
発砲した。
4
驚愕が戦場を舞った。
至近距離から砲弾を見舞われた護衛艦は爆発した。中央部から巨大な火柱が出現し、それは瞬く間に艦を呑み込んでいく。轟沈だった。
播磨は更に射撃を続けた。続けざまに2隻、別の護衛艦が被弾する。
呆然と沈黙にかられた武蔵の艦橋に、見張りの声が小さく届いた。
「戦艦播磨・・・友軍艦を、射撃・・・・・・」
それが契機となった。一気に混乱が拡大する。
「第零遊撃部隊・第一戦隊旗艦、被弾! 大破炎上!!」
「遊撃部隊第四戦隊壊滅!」
「播磨、全砲門を本艦に指向!!」
「なんだ。何が起きている!?」
栗田の疑問に答える者はいなかった。代わりに悲鳴が返る。「播磨発砲!!」
播磨の威力はすでに実証済みだ。恐慌が武蔵の艦橋を支配した。
栗田が再び叫ぶ。「回避だ、艦長! 斉射が来る!!」
有馬は歯を噛み締める。今、デュアルクレイターは沈黙している。敵超兵器を叩く最良の機会だ。超兵器さえ潰してしまえば、あとは連合艦隊だけでも事を成せるだろう。だが、ここで転舵すれば、射撃諸元が全て失われることになる。・・・しかし播磨の巨弾を喰らうわけにはいかない。陸奥以下の旧式戦艦だけで敵の新型戦艦を退けるのは困難だろう。
超兵器を叩くか、回避を図るか・・・。それは苦渋の決断だった。
「取り舵一杯。機関全速!」
武蔵の巨体が震え、航跡が左に流れる。だが、回避運動が終わるより早く、播磨の砲弾が降り注ぐ。海水の滝が出現した。甲板を濁流が洗い流す。
「右舷中央に至近弾。浸水発生!」
「艦尾付近に着弾。舵破損。左舷スクリュー損傷!!」
至近弾でこの威力・・・。直撃を受けたときにどうなるか。考えるだけで恐ろしい。しかも、この状況でこの損害。下手をすると本当に帰還できなくなってしまう。浸水は排水ポンプで外に出すことができるが、スクリューの損傷はどうにもならない。まさか戦闘中に溶接作業をするわけにもいかない。破損したのが1基だけならまだ打つ手はあるが・・・。
「播磨、第二斉射来ます!!」
「艦長、どうにかならんのか!?」
栗田が騒ぐ。自分でも頬が引きつるのが分かる。うるさい。やることがないなら少し黙っていろ。
艦内送話器を取る。「スクリューの損傷具合を確かめろ。まだ使用に耐えるようなら回し続ける」
そこへ絶叫が被さる。「播磨、大量の奮進弾を射出! 目標は本艦です!!」
栗田が騒ぐ。「艦長、退避だ!」「舵機とスクリューが損傷しています! 回避運動はできません!」
「奮進弾迫ります!」「艦長―――!」
「左舷機銃群、射撃開始! 撃ち落とせ!」
「左舷機銃群、射撃開始!」「播磨、第三斉射発砲!」「第二斉射、弾着―――!」
艦が滝に囲まれる。衝撃。艦体が揺れる。
更に―――
「奮進弾接近―――!!」「総員、対衝撃防御!!」
左舷機銃群は阻止射撃に失敗した。膨大な量の奮進弾が武蔵を襲う。
艦橋が揺れた。見張りたちが薙ぎ倒される。強化ガラスが砕け散る。黒煙が立ち込める。振動が止まらない。爆発が連続する。
「左舷中央火災発生!」
「予備射撃指揮所被弾!」
「射撃方位盤損傷。負傷者多数! 射撃継続不能!!」
被害は止まるところを知らない。これ以上食い止めることができるのか。有馬は表情を歪ませる。
何がどうなっているのか。まるで状況がつかめない。いきなり友軍を潰しにかかるとは・・・。
―――播磨め。何を考えているのだ・・・?
有馬は眼前に倒れた少年を睨み付ける。
頭部から大量の血を流したオペレーター・シュウは、床に倒れ伏したまま微動だにしなかった。
そこに、播磨の第三斉射が落下した。
5
播磨を見るリンの顔からは、完全に血の気が引いていた。「発症してしまったのか・・・」
「もう駄目だ。どうすることもできない・・・」
リンの相貌に恐怖が浮かんでいる。
「何が起きている。『発症』とはどういう意味だ」
問い詰める南雲に、オペレーターは唇を震わせながら言った。
「モジュール・ドライブの欠損・・・発症・・・最強の欠陥兵器・・・プロジェクト"Harima"・・・」
聞きなれない言葉。モジュール。欠陥? 何だ。何を言っている?
訝る南雲に、リンは蒼白な表情を見せて言った。
「グァム沖で言いましたよね。―――もし『あれ』が起きたとき、我々はおそらく生きて祖国に帰ることはないでしょう、と」
南雲はうなずく。確かにそう聞いた。あのときは意味が分からなかったが・・・。
問う。―――『それ』が、これだというのか・・・?
リンは答えなかった。その沈黙が、何よりの回答だった。
「あれが、播磨の欠点なのか・・・」
南雲は静かに視線を向けた。播磨に。恐ろしく、静かに。
そうでもしないと、播磨の砲門がこちらに向けられる。そんな錯覚に襲われたかのように。
播磨は砲撃を続けていた。着弾の時間になるたびに、武蔵の装甲がめくれ上がり、砲塔が砕かれ、かつては人であったろう何かの破片が宙に舞い上がる。至るところで発生した劫火が、武蔵を焼いていた。
「武蔵はもう持たないでしょう」
リンが再び口を開く。
「いえ、武蔵だけではなく、おそらく・・・この海域に存在する全ての艦を沈め終えるまで、播磨は―――あの『暴君』は狂い続けるでしょう」
暴君―――。圧倒的な火力で以ってあらゆるものを薙ぎ払い、暴れ狂うもの。
それは、今の播磨を形容するにふさわしい言葉だった。
少年は続ける。
「播磨は、本来戦場に出すべき艦ではないのです。あれほど恐ろしい欠点を持つ兵器は、もはや兵器ではない。殺戮機械だ・・・」
「・・・・・・」
リンはこちらを見据えてきた。その双眸に、決意の眼差しが見える。
「・・・・・・補佐官?」
南雲の言には応えず、異界の水兵は播磨を睨み付けた。続いて、燃え盛る遊撃部隊旗艦を見る。・・・もう一度、播磨を。そして―――言った。
「長官」
その目は、まさしく軍人に相応しい、闘志を秘めた目だった。
「播磨を止めます。突撃命令を。」
驚愕する南雲に、リンは繰り返した。「あの暴君を撃沈します。突撃命令を。」
「破壊目標―――超兵器戦艦・播磨。」
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