庭の石(N県)
大阪の隣の「海がない県」に住んでいた親戚のはなし。
※かなり古い(昭和)話です。
年配の叔父と叔母は運良く抽選にあたり、
県内の市営住宅に引っ越してきました。
当時の市営住宅は現在のようなマンションではなく、
2階建ての長屋造りでしたが、1階には小さいながらも庭があり、
洗濯物を干したり、ちょっとした園芸も楽しむには、
十分な広さがありました。
当時としては、それなりに快適な住宅だったと思います。
そんなある日、老朽化した水道管を交換する工事を行う通知が来て、
管が通っている、庭の一部を掘り起こす事になりました。
庭には木が植わっている訳でもないので、特に邪魔なものは無かったのですが、
庭の片隅にある半分土に埋まった40cm大の石だけが邪魔になったようです。
叔父夫妻は、引っ越してきた当初からあった、その古い石のことを
特に生活に不自由があるわけでもないので全く気にもとめていませんでした。
ですので、工事の作業員はその石を撤去し、工事はつつがなく完了しました。
そのときは、その石に今は判別することすら難しくなってしまっていましたが、
何かしら文字が刻んであったことなどには、誰も気づきませんでした・・・。
その次の日から怪異な事件は起こりました。
叔父が仕事に出ていると、叔母から会社に電話があり、
「すぐに帰って来て欲しい」とのことでした。
いままで叔母が叔父の仕事場に電話を掛けることなどほとんどなかったので、
叔父は驚いて、急いで自宅に戻り、叔母にどうしたのか問いただしました。
しかし、叔母はそんな電話はしていないと言うのです。
叔父と叔母は何年も連れ添った夫婦です。
いくら電話だからといって叔母の声を聞き間違える事はまずありえません。
妙な感覚につつまれながらも、その日は床に付きました。
次の日、叔父はいつもと同じように仕事にでかけると、
昨日と同じように叔母から会社に電話がありました。
叔父が電話に出るとやはり昨日と同じように「すぐに帰ってきて欲しい」と叔母は言うのです。
昨日の事もあり叔父は注意深く電話の声を聞いていたのですが、どう考えても叔母の声です。
叔父は「仕事中なので帰られない」と答えると、電話の向こうで叔母は狂ったように泣いたり怒ったりするのです。
叔母はごくごく一般的なフツーの主婦で す。
叔父は当然、そんなヒステリックな叔母の声など聞いたことはありません。叔父は驚いて急いで自宅に戻りました。
叔父が自宅に到着すると叔母はケロッとした表情でいるのです。
電話の話をすると、叔母は今度も「(電話は)していない」と言うのです。
叔父にはもう訳がわかりません。
「だれかのイタズラかいやがらせだろうか?」と不安になりながらも、
何の解決の糸口も見つけだせないまま、眠りにつきました。
深夜、あまりの寝苦しさに叔父は目が覚めました。
すると金縛りにあって体が動きません。
驚いて目を開けると、自分の上にからだの半分がくさった死体が座り込んでいたのです。
そしてその周りには3つの骸骨が、とりまくように飛び回っていたのです。
叔父はなんとかとなりで寝ている叔母を起こそうと叫びますが、いっこうに声がでません。
その死体は男とも女ともつかない声でうめき声を上げながら、叔父の首に手を掛けてきました。
叔父は苦しさと、恐怖でそのまま気を失ってしまいました。
気が付くと朝になっていました。
叔父はものすごい疲労感を感じながらも、仕事に出かけました。
すると、また叔母から電話が掛かってきました。
叔父が電話を替わると叔母は言いました、
「早く帰って来いっ!」
その声はまさに昨日の夜に聞いた、あの声だったそうです。
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