初心者運転指導・・・(京都南I.C付近)
これは私が短大時代、先輩N 氏に聞いた話である。後に稲川淳二氏の話にも登場して著者も
「本当の話だったのか!」
と再度、恐怖したものである・・・。
それは・・・・
ある京都に住む青年Aが自動車免許を取得したのだが、一人で運転するのが不安で免許を取って
運転にも慣れた友人Zに助手席に乗ってドライブを付き合ってくれと頼んだのだった。
Zは別段嫌がることも無く引き受けてくれたのだが、たった一つ、名神高速の京都南I.C付近にある
堤防沿いの道は危ないからそこだけは避けよう・・・と1つ提案があった。Aは気にもせず、これは有り難い
という事で毎日、京都の道をグルグル回り徐々に運転にもなれ、Zにひたすら感謝するのであった。
慣れたとは言え、マダマダ未熟なので練習する時は必ずZを助手席に乗せて運転していたある日、
ドライブ中、心地よい車の振動で眠ってしまったのかZが寝息をかき始めた。Aは少しは慣れてると思い、
Zを起こす事なく運転を続けた。そうこうしている内に車は京都の南のほうに差し掛かっていた。
「ここはZが危ないって言ってた道だな・・・。」
と思ったものの来た事もない道なのでうまく引き返せない。堤防沿いの一本道を走行していると
見る見るうちに辺りに霧が立ち込めて来たのだった。夕方とはいえ視界がとても悪い。雨も降った気配も
ないのにオカシイナ・・・とAが思っていると道の真ん中に子供の手を引く女性の影らしいのが見えた。
こんな霧の中、道の真ん中に居るなんて危ないな・・・と、クラクションを鳴らそうかと考えているうちに
車はドンドン近づいて行く。そこでクラクションを鳴らそうか・・・とか言う考えは吹き飛んだ!
何故ならその人影はハッキリと見え、その姿を確認できたからだ!その姿は母親と子供連れなのだが
服装は乱れ、全身血まみれでとてもこの世の人間には見えない!
そしてその女性は道の傍らによりジッとこっちを見つめている・・・。Zを起こすにも前から視線を外せない!
しかもその女性とは絶対に目を合わせてはイケナイ!と本能が心の中で叫ぶ!!
遂に車はその女性の横をゆっくり通過しようとした・・・その時!ガラス越しに運転席を覗き込んだ女性は
「こっちは・・・・・違う・・・・・」
車のガラス越しのはずなのに頭の中、耳の奥にソッと語りかけるような声にAは全身の毛穴から冷たい汗が
噴き出すような恐怖に襲われた。目をつぶるわけにもいかず、恐る恐るバックミラーを見たがその姿は無く、
前を見ると嘘のように霧も晴れていたのだった・・・。すぐに何とか車を脇に止め、心を落ち着かす事を急いだ。
こんな恐怖体験をしている時に寝ていたなんてラッキーだったなぁ・・・と思ってZの方を見てAは又、驚かされた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
Zはそう叫び続け、涙を流し、手で顔を覆いながら大声で泣いていたのだ。Aはワケが分らず、とにかくZ
を家へ送って行った。
後日、Zは轢き逃げで警察へ自首した。
そう、Zはその堤防沿いの道で親子を撥ね、轢き逃げをしていたのを隠していたのだ。恐らくAがその道で
恐怖体験している時にZも目を覚ましていたのに違いない。そしてジッとコチラを見ていたのはAではなくZを
睨み続けていたのだろうか・・・。
「こっちは・・・・・違う・・・・・」
とAに聞こえた時・・・Zにはどう聞こえていたのだろうか・・・・。
何にせよ、犯人が捕まりその親子の恨みは晴れたのだろうか・・・そのあと、その付近での怪談話は私は聞かない・・
のだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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